
「だれでも防災」(鍵屋一・監修・中央出版・2025年刊)を読みました。サブタイトルは「避難が難しい人のための1冊」とありました。実は鍵屋一さんは、高知市下知地区で2015年から2017年までの3年間「下知地区防災計画」策定のアドバーサーを務めていただきました。
2025年12月20日にも下知地区で鍵屋一さんのワークショップをしていただきました。
http://futaba-bousai.cocolog-nifty.com/blog/2025/12/post-c10cdc.html
(下知地区防災計画はなぜ事前復興計画を柱にしたのか!)
鍵屋一さんは「福祉防災」の専門家であり、実践者でもありました。この書籍は「福祉防災」のガイドブックであり、「災害弱者」と呼ばれ、災害時犠牲者が多く出る高齢者や乳幼児、障害を持たれている障害者の人達、在日外国人の人達、外国人観光客達も、地域社会で生活している人達すべてに対するガイドブックこそが「だれでも防災」でした。
「ガイドブック」の実務編に入る前に「はじめに 災害時「も」すべての人の尊厳が守られる社会を目指して」のなかで鍵屋一さんはとても大事で重要な記述をされています。

「2025年5月28日、日本の災害法制において、一つの歴史的な転換点が訪れました。この日、災害救助法における救助の種類として「福祉サービスの提供」が新たに加えられることが、参議院で可決・成立したのです。
長年にわたり、災害現場で命と尊厳を守ろうとしてきた無数の福祉関係者の努力としてきた無数の福祉関係者の努力と、全国の災害経験から得られた痛切な教訓が、ようやく形になった瞬間でした。」
「この改正の真の意味は、災害時にも「福祉」が公的に必要な支援として認められたということです。つまり、高齢者、障害者、難病患者、子供、外国人など、支援を要する人々との尊厳が、災害時「も」守られるべきだという社会の意思表明であると考えます。」
鍵屋一さんは「しかし、ここまで来るのには長い時間がかかりました。」と書かれています。
その理由は、
①戦後すぐに施行された災害救助法は、「被災者の保護」や「社会社会秩序の保全」を目的は「一律・応急」でした。個人の尊厳や自立、福祉的配慮は存在していません。
②初めて「災害弱者」という言葉が、公的文書に登場したのは1987年でした。しかし1995年の阪神・淡路大震災では、900人を超える災害関連しは発生しましたが、制度の見直しには繋がりませんでした。
③2000年代に入り、国により「要支援者避難支援ガイドライン」が出されましたが、(自治体もこれにもとづいた避難支援計画を作成するようになりました)が実効力が弱かった。
④2011年の東日本大震災(22000人が亡くなられた大災害)後に、ようやく2021年に「個別避難計画の作成」(災害弱者を対象とした)が市町村の努力目標とされ、福祉事業者には「BCP(業務継続計画)が義務づけらました。
⑤しかし災害現場では、残念ながら高齢者や要配慮者の尊厳が失われる場面が、今も繰り返されています。
なぜそのような事態になるのか?日本社会では「災害関連死」がなぜ多く減らないのか。鍵屋一さんは、理由を明確に説明されています。
①根本的な理由は、平時の福祉と災害時の支援体制が分断されてきました。
②日常では、介護や障害福祉の専門職が要配慮者の生活を支えているのに、災害時には往々にして行政任せ(市町村)になり、継続しなかればならない福祉支援が断たれてしまうのです。
③少しずつ変化はあり、「災害ケースマネジメント」(被災者のニーズを聞き取り、どのような支援をいつ提供するかプランを組んで調整を行い、被災者の状態や支援の利用状況を継続して見守ることを指します。 ケアマネジメントと呼ばれることもあります。
医療や介護の現場対応などでは、患者の治療方針や介護支援などを専門家が書く立場から支援しアドバイスをします。災害支援の現場でも同じことであり、支援対策は必要です。
④「災害は弱いものいじめ」という社会と決別しないといけない。「すべての人の尊厳が守られなければいけない。」

この書籍は「編集協力」に温井恵美子さん(一般社団法人福祉防災コミュニュティ協会理事・福祉防災上級コーチ・国立重度知的障碍者総合施設のぞみの客員研究員)mぉおられます。3月3日に地元下知コミュニュティ・センターにて 「福祉×防災×コミュニュニュティ!みんなで助かるために個別避難計画をうまく運用するために」というテーマで講演を聴講しました。
http://futaba-bousai.cocolog-nifty.com/blog/2026/03/post-7735e6.html
(温井恵美子さん福祉・防災講演会)
また「心の病」で悩まれている知人の知り合いの山田悠平さん(一般社団法人先進障害者ポルケ代表理事)も編集協力者になられています。
https://porque.tokyo/
(一般社団法人精神障害当事者会ポルケ)
書籍の構成は、すべて実践編になっています。
1・これだけ防災
2・自分の合った避難と移動
3・住みよい避難生活
4・災害を知る
5・暮らしを立て直す
となっています。
「暮らしを立て直す」の中で、2つの項目がありました。
◎「困ったと言わなくてすむには」
著作ではこう言われています。
「東日本大震災では、相談支援お方から、「障害を抱えたお子さんと一緒に避難す世にいられず、1週間ほとんど何も食べずに、特別支援学校の前で車中泊をしていた母親がいた。」という話を聞きました。
すべての特別支援学校が福祉避難所になってくれたら、きっと多くの障害者と保護者が助かるのにと、思った瞬間でした。
災害に備えて、あるいは避難して、と言われますが、日常生活に困難を抱える人々には、そのような余裕はなかなかありません。そして余裕はなかなかありません。
そして、災害に遭って非常に苦労されるのです。」
◎「災害に強い地域社会へ」
「でも大丈夫、きっと立ち直れる、それを支えるとりくmきがあります。
今、災害時に必要とされる支援が体系的に整備され、被災した人のための「災害ケースマネジメント」が進められています。
災害ケースマネジメントは、被災者1人ひとりの状況に寄り添い、きめ細かな支援を行うことで、早期の生活再建を実現するためのとりくみです。
特に、避難所での生活が困難な障害のあるこどもや。その家族にとって、大きなささえとなります。
「逃げる」「助かる」ことが精いっぱいなかで、「その後の暮らしまで考える余裕はなかなかありません。けれど、それでも前をむいてほしい。
必要な人に、必要な支援が届くしくみがあるからです。」
まだまだ事例は少なめですが、「災害ケースマネジメント」でうまく対応した事例も増えています。ただ私たちの地域でそれが出来るのかどうかの「仕組み」はまだ構築はされていません。それが今後の大きな課題の1つです。
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