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2024年10月23日 (水)

「むなしさの味わい方」を読んで

むなしさの味わい方 表紙 001
 私個人の最近の出来事についていえば、「うまくいかないこと」だらけであり、「面白くない」出来事がとても多い。体調不良も多く、「いつもの」楽天的な私ではない。少々の失敗や落ち込みに対しては、沖縄流の「なんくるないさ」(何とかなるさ)の心持で乗り切ってきましたが、今年はそうはいかない状況でした。

 このまま今年は低迷して終わるだろうなと思いました。うつになって落ち込んでいくばかりではないかという恐怖もありました。そんなときにこの書籍を金高堂書店で購入しました。偶然書店で目に入り購入しました。

 きたやまおさむさんと言えば、学生時代のご活躍と言えばフォーククルセダーズでした。「帰ってきた酔っぱらい」「イムジン河」「あの素晴らしい愛をもう1度」など活動期間は短いものの、メガヒットを出しています。
むなしさの味わい方 その2 001
 その後は九州大学の教授をされていて、何年か前に定年退官され、フォークルを再結成されたという話題もありました。フォークルの解散後にメンバーの才気あふれる加藤和彦さんの自死もありました。

 実際にお会いしたことはありませんが、きたやまおさむさんはまた意外にも身近な存在でもあります。

 ヨットの大先輩であるUさんが、なんと京都府立医科大学時代ヨット部で、先輩であったそうです。1学年下の「きたやまおさむは クルーだった。」とのこと。3年ぐらい前に初めて聞きました。大学ヨット部は2人乗りの470やスナイプという艇に主に乗り琵琶湖で帆走練習をしています。

 Uさんは舵取り(スキッパー)であり、きたやまおさむさんはクルーで2枚帆を調整したり、風下帆走の場合はスピンネーカーという補助セールを出したり、取り入れたりする係をされていたようです。

 「大学時代は学生紛争でロックアウトされ、おまけに5年で卒業にされた。」とのこと。Uさんは今はある自治体の医師会の会長をなさっておられます。

 さて肝心の書籍の感想です。豊かな時代になり、物があふれる時代になりましても人々の悩みは尽きません。また最近の情報通信技術の発達などで、より人々は精神的に追い込まれているのではないかときたやまおさむさんは言われます。

「相手の反応に敏感すぎる時代」(P32)

「意味のない言葉の氾濫」(P33)

「ご期待対応力が評価される」(P37)

 「ご期待対応力」なる言葉は、きたやまおさむさんの独特の表現です。でも今の時代を的確に「切り取る言葉」ではないでしょうか。

 最近もス-パースターと言われるビックアーティストの伝記的な映画がありました。クイーンのボーカルだったフレディ・マーキュリーを描いた「ボヘミアン・ラブシティ」(2018年)、エルトンジョンを描いたロケットマン(2019年)がありました。

「こうした映画では、主人公のミュージシャンが、ファンの期待に応えようとしながら、こうありたいとの自己像との間で葛藤し、ドラックやアルコール、セックスなどに溺れ自滅していく姿が必ずといってよいほど描かれています。

 また、ドラックなどではなくても、自分の心に生じた「間」を受け止めきれずに、何かで必死で埋めようとしながらも、うまくいかずに立ち直れなくなってしまう場合も少なくありません。

 ともにフォーク・クルセーダーズを結成したメンバーの1人は、2009年に自ら命を絶ってしまいました。彼のことを考えると、今も私は心が傷みます。」(P43)

 心構えの対策として、きたやまおさむさんは、以下のことをいわれています。

「期待に応えるよりも「マイペース」をえらぶ決断」(P44)

「遊びがあってこそ」(P45)

「私たちは、このむなしさ」に慣れ、飲み込まれないようにする術を身につけなければならないでしょう。」(P49)

「このようにみてくれば、心の発達で、他者との関係性や自分の心の中に「間」が生じ、「むなしさ」という感覚を味わうということは、少なくない人たちにとっては、当然の経験であることがわかるでしょう。だから誰も「むなしさ」から逃れられないし、「むなしさ」を完全に消し去ることはできないのです。」(P77 「間」を生きるという課題)

「急な幻滅に遭遇したとしても、私たちの人生はそれで終わってしまうわけではありません。多くの場合、人生という物語は、急な幻滅悲劇の展開で終わることなく、その後もだらだらとつづいていきます。

 生きている限り明日は必ずやってきます。そして日常という時間w過ごさなければなりません。まして現代は長寿社会と言われ、私たちはかつてよりも長い人生を送ることになっています。

 こうした意味でも、私たちには時間が与えられています。」(P112「幻滅の後も人生は続く-時間をかけることの意味)

「物事を解決したり、何らかの対処をしたりするためには、時間が必要です。」時間をかけるというのは「間」(間)が生じるということです。「間」というのは、本書で何度も登場した「間」(ま)のことです。

 日本語では両方とも同じ漢字で表記します。空間的な広がりとしての「間」であり、、時間的な長さとしての「間」のことです。

 心の病気を治すためにも時間が必要です。すぐに治らないからと絶望してしまえば、病気を治すどころではんくなります。時間をかけて徐々に治っていくという「間」をけいけんしなければなりません。

 中略

 大切な相手との関係性にひびが入ってしまったという場合、早急に相手を見限って、関係性を絶ってしまうのではなく、時間をかければ、予期せぬ結果が生まれるかもしれません。そこが希望と絶望が交替する移行の期間なのです。

 心の問題に関する原則は、時こそ「解き」(とき)であり、時間が解決するということなのです。」(P113 待つことと、「間」に立ち続けること)

 著者によれば「待っている時間を過ごすこと、結論を急がずに、結論に至るまでの「間」に立ち続けることは簡単ではありません。」と言います。

 どっちつかずの境遇でひたすらい結果を期待して待ち続けることは、現代人は得意ではありません。結論を急ぎ、結果をもとめます。また「むなしさ」を回避しようとする仕組みが張り巡らせています。

「二面性を受け入れる」(P115)

「2面性を知ることで深まる認識」(P118)

「吐き出してすっきりしたいが」(P119)

「心をゴミで埋めようとする。」(P122)

「割り切れないもの、消化できないもの、未処理のもの、中途半端で矛盾しているもの、そうしたものを心の、いわば「溜め池」のようなところに、そのまま置いておく。そして時間をかける。そうした心の余裕を持つことが出来るかどうかが、「むなしさ」をうまくこなしていくことにもつながってきます。」
(P123もやもやは心の「ため池」に置いておく)
ため息をついても幸せは逃げない」(P124)

 このあたりの言葉は、精神科医のきたやまおさむさんの治療のなかから出てきた考え方であると思うし。依拠しているフロイトの精神分析をかみ砕いて説明をしていただいているようです。

「相手が自分の思ったとおりのひとでなかったとかいうとき、わたしたちは喪失感や幻滅を覚え、心に「むなしさ」が訪れます。

 中略

 心がすっきりしないとき、この怒りの内向と同様の自虐や自責が起きることがあります。相手が自分の思う通りの人ではなかったのは、実は相手が自分を嫌っているからではないか。自分は嫌われても仕方のない、価値のない人間ではないか。

  中略
 
 日本人は外向きに怒りを感じるのが苦手だとよく言われ、私たちは怒りを内向させがちです。でもそれでは、心に「置いた」ことにはなりません。」
(P126怒りの内向と自虐)

 ある新興宗教団体が、自責の念を利用して「その罪を解消するためには、教団にお金を納めて禊をすませなくてはならない。そのためには教団に帰依し、献金し続けなくてはならない」という大きな問題が社会事件でおきました。日本人の特性を悪用した献金システムでした。

「私たちは生きていくうえで、人に借りをつくり、恩を受けながら生きています。そもそも私たちの人生は親を始め、他人のケアを受けなければ生きていくことができないという未熟な乳幼児期からはじまります。

 そして、自分が大人になった時は、今度は自分が子供をケアする。あるいは他者に貸しをつくったり、恩を与えたりする。要するにお互い様です。

 白黒思考に固まっていると、「すまない」を置いておけず、すまないままではいられなくなるのです。妥協しながら貸し借りをつくりながら、物事はどっともどっちであり、あなたも私もお互い様をかみしめながら生きていくことが大切です。

 この「すまないものを「すまない」ままでとして置いておけるか。」ここでも「間」に立ち続けること、未処理のモノをそのまま置いておくことがもとめられています。」
(P!30「すまない」はおたがいさま)

このあたりはきたやまむさんの独特の表現。ご自身の体験と精神科医としての臨床体験や、研究した文献の逸話や、精神病理医師の先輩の所説などがわかりやすくかかれています。

「心の内奥には沼がある」

「現在私たちが生活している場所は多くがアスファルトやコンクリートによって埋められています。沼などは殆どなくなっています。ドロドロと臭く、経済的な価値を見出せない沼などは、どんどん埋め立てられ、私たちの前から聞けていきました。

 しかし人間は人間臭く、乳は乳臭いものだし、大地は土臭いものです。心の一部も臭いはずですが、私たちが人間である以上,有機の匂いがするものであり、私たちの「心の沼」を都会のように埋めてしまうことはできないのです。」(沼は臭いので蓋を P134)

「心の沼は、澄んではいない。」

 心の沼は、いつもドロドロ、ずぶずぶ、ぐずぐず、ぐちゃぐちゃしているので、ドブ掃除は無理です。 中略

 そこには容易に手を突っ込めない危険性もありますし、また性欲や残虐性もあります。底なし沼という言葉があるように、真っ暗で水中がどうなっているのかなかなか理解できないのです。だから心の中で、いくら酷い事、残虐なことを考えても、そのことは否定されるべきではありません。中略

 心の中でどんな空想をしようと、それは自由です。むしろ、心の中で考えてて置いておけるなら、ひどいこと、残虐なことを行動に移さないことが可能になります。心の中で自由に考えたり、想像したりすることを否定したら、ひとはとても息苦しくなり、むしろ危険なのです。

 私たちは、目の前で起きている現実と、心の中の現実と2つの現実を生きています。その2つの現実を生きていることを自覚し、その2つがバランスよく作用しあっていることが健康的な状態です。

 2つの現実の片方しか認めようとせず、あるいは2つの現実を同一にしようとするのは危険です。心の中で残虐性を実行することはよくあることですが、目の前の綺麗な現実だけを認め、それと乖離する心の現実を閉じたり、あるいは心の現実をそれに無理やり合わせようとすることも危険なことです。きれいごとをいい裏を認めず良い子である表にあわそうとすると、心に無理が生じます。

 ひどい、残虐な想像をしてしまうのも自分であり、他者に対して、良い人のように降る真っいているのも自分なのです。2つの現実と、人の2面性を認めることの大切さは、こうしたところからもりかいできます。

 このように、沼はあくまでにごったものであり、そのまま置いておくしかないのです。」(P136)

 長い引用をしました。きたやまおさむさんの言葉の1つ1つに納得しますし、わたしの「鬱々、ドロドロした、自分を卑下し、貶める考え方」から、お陰で解放された気分です。

 でも精神分析の専門分野をかみ砕いて説明してくれていますが、わかったようで、わからないところがたくさんあります。

 この文章を読んでいて思いだしたのは、私の子供時代(1960年から65年頃)小学生時代は、高知市内でも、転校先の大阪府豊中市でも吹田市でも、沼がありました。柵などもなく、「危ない河童に引き込まれるぞ!」とかの看板が立っていました。

 沼は沼で自然界では存在価値があり、水生植物や昆虫、淡水魚類などのビオトープの世界であったし、子供たちの手軽な釣り場でもありました。

 しかし高度成長時代が全国的に始まりますと、沼は埋めたてられ、宅地や工場や商業施設になりました。地面はコンクリートやアスファルトで埋められました。

 今年は猛暑でしたが、沼や小川は埋め立てられ、アスファルトで覆われました。市街地も暑くなります。沼に生息していた、カエルやミツバチや、トンボや、めだかなども身近な場所で見なくなりました。

 便利な社会になりましたが、なんだか皆が余裕のない状態になり、心のバランスを崩すようになりました。私もそうなりかけていました。

 高知でも東京でも皆、暇があればスマホの画面を見て「暇つぶし」をしています。会話もなく、人とのコミュニュケーション力の衰退も心配ですが、心の「むなしさ」や「間」をネットの情報で埋めてしまおうとして、かえって疲労が蓄積されて心にひずみが出来イェイるのではないかと私は心配しています。


「むなしさを味わう」(P157)

 きたやまおさむさんはこう書かれています。

 ここまで見てきたように、私たちの心には「むなしさ」が必ず訪れ、通例そのことから逃れることができないものです。そして「むなしさ」は「すまない」とともにいきていかざるをえません。

 しかし、そのことは、単にそれに耐えるべきものではなく、場合によっては、吐き出したい言葉を生み出し、創造性を育んで、むしろ人間の生に豊かさをもたらせてくれるのではないかと私は考えます。

 「むなしさ」そのものに意味はないかもしれません。でも「むなしさ」をかみしめ、味わうことには、」意味があるかもしれない。(P158) 

 私自身の個人史において自我というものが形成されたのは、中学生時代でありました。早熟な「政治少年」として、政治や社会運動に興味を持ち、当時の情報伝達手段は「ガリ版」(謄写版印刷)でしたので、それで手書きで「新聞」を発行し、社会評論的なことをしていました。

 そのころの作法として「うまくいかないこと。目標が達成できないときの原因を自分の中で追及し、文章化し、高めの達成目標を設定し実行していました。(実力から言えば高めの目標設定故に、殆ど到達できないことばかりでした。)

 しかしながら、自分でコントロールできない課題や、社会運動においては、党派の上級幹部(専従者)の命令などもあり、反論できないまま落ち込んでいき、挙句の果てには運動体自身が解体消滅し、敗北し、放り出されることの繰り返しでした。

 きたやまおさむさんの「沼」という考え方。「空しい」ことにも意味がある。決して無駄なことではない。出来ないときは出来ない。出来なくてもいい。という。まったりした考え方、発想法は新鮮でした。

 自分の気持ちを「文書化」して、目標を整理し、達成に向けて努力しする。それ等はいまでも、地域防災の会合などで、会合参加者の情報共有化の手助けになる手法であります。(深刻な問題以外では有益な方法手段です。)

 しかし万能の処方箋ではありません。きたやまおさむさんの今回の著作を読んで改めて気が付きました。

 今年は正月から手術や入院、療養が続き、その中でも、仕事の合間の「こまめな時間」を活用して、自分なりに「周到な」準備をしていた地域防災の2大大事業(私なりのである「仁淀川町防災キャンプ」が台風で中止になり、地域防災訓練予定日は、思わぬ衆議院の解散総選挙の関係で、延期が余儀なくされ、防災メニューの大幅な見直しが強いられました。

 仕事や地域活動も本調子ではなく、体調も本調子ではない。仕事もうまくいかないことがある。でもそれでも何とか生きて行かなくてはいけない。自分が情けなくて、すべて投げ出したい「マイナス思考の渦の中」で、この著作を読みました。

きたやまおさむさんの先輩格の精神分析医の前田重治さんの心の絵がありました。確かに文字表現で、心象風景を記述されてもわかりにくい。

 フロイトが日本に紹介された時代における精神分析の個々のイメージが描かれています。(P160)
フロイト心の中の世界図 001
 絵は「前田重治 フロイトの精神装置図」(1958年)とありました。

 上部は,外界に向かい知覚のために心は外に開かれています。(中略)

 個の前田先生の絵においても、無意識、あるいはほどんど無意識になっているエス(日本語ではそれを意味するドイツ語)は下部に置かれ、その最下層は身体に根差して「本能欲求取りこみ門が開口しています。」(P162)

「上部の頭脳や理性だけでは人間は生きていけないし頭脳や理性だけが、人間のすべてではありません。理性的な意識よりも、心の下部から湧き上がる、沼の臭い、欲望の臭いとしてのモヤモヤのほうが強くなってしまうこともあります。
現在の自我構造・前田氏 001
 したがって、上部と下部、その両方の領域を備えてこそ、人間の心の全体となるのです。」(P167「無意識と身体」)

この著作を読んで、あらためて、フォーククールセーダーズの」「あの素晴らしい愛をもう一度」の詩を読んでみると、心の深層を感じます。

作詞:北山修/作曲:加藤和彦/歌:フォーククルセイダーズ
「あの素晴らしい愛をもう一度 」

命かけてと

誓った日から
すてきな想い出
残してきたのに
あの時

同じ花を見て
美しいと
言った二人の
心と心が
今はもう通わない
あの素晴らしい
愛をもう一度
あの素晴らしい

愛をもう一度

赤トンボの唄を
歌った空は
なんにも変わって
いないけれど
あの時/
ずっと夕焼けを
追いかけて
いった二人の
心と心が
今はもう通わない
あの素晴らしい
愛をもう一度
あの素晴らしい

愛をもう一度

広い荒野に
ぽつんといるよで
涙が知らずに
あふれてくるのさ
あの時

風が流れても
変わらないと
言った二人の
心と心が
今はもう通わない
あの素晴らしい
愛をもう一度
あの素晴らしい
愛をもう一度

「日常でも、「美しいもの」を共有しながら愛でるのは親子だけでなく、恋人や友人同士でも多いのです。雪見、お花見、花火、お月見、」紅葉狩りと、私たちは昔から同じものを一緒に眺めて心を通わせ、この愛を育んできたのです。
 漱石による訳だという逸話もありますが、「アイラブユー」を「愛している」と見つめあって言うのではなく、肩を並べて、「月が綺麗だね」と言う比較文化論は、私たちの「横並びの愛」の深層心理を鋭く突いていると思うのです。

 だがこの愛が取り返しのない形で崩れ、しこに穴が開き。「つながり」が突然切れるなら、目も当てられない惨状が展開するでしょう。お互いが孤立して、「みんな」からハブられる恐怖や、向い合ってもらえない不安、そして同調圧力が生み出されてしまうのでしょう。

 だから、同じ花を見て美しいといった2人の心が今はもう通わないという悲劇は繰り返されるのだと、歌でも言うのです。(P193「あの素晴らしい愛について」)


 終章にこういう記述がありました。

「探し物はきっと見つからない。もし見つかったと思っても、それはすぐ目の前から消え、失われていきます。なぜなら、心の中で求めている「探し物」と全く同じものは、外の世界には存在しないのです。

 1人の人間のなかには、心の中と外という2つの現実があることを述べました。質の違う2つの現実が、1にの人間の中で共存しているのです。普通はどちらか片方だけが現実でもないし、2つの現実を一致させることも無理です。だから、心の中にある「探し物」は心の外の世界には存在しないのです。P195)

「本書は、蔓延していると感じる「むなしさ」につき、自己分析を踏まえ、日本語、日本文化、現代社会を見据えながら書いた。もちろん最近の私の一般向け書物と同様、フロイト理論や精神分析の対象関係論の考え方を活かしている。しかし「むなしさ」を感じたら、情報収集による穴埋めを控えて、これを味わい、できれば自分で考えてみたらと提案しているのだから、理論的なことやこのテーマに関わる議論は細かく書き込まなかった。」(P203あとがき」

 わたしにとって2024年は「トラブル」続きの年でした。正月には眼病での両目の手術と入院。療養生活などで長期間仕事が出来ませんでした。メガネ合わせに苦戦し、復帰できたのが5月連休前でした。

 でも手術のおかげで「失明」は免れ、「ド近眼」が「中程度の近視」になり、近くは見えるので老眼が不要になりました。悪いことばかりではありません。6月には右手裂傷、9月には帯状疱疹。10月には蜂に刺されるとかいうトラブルまでありました。

 おまけに周到に地元の皆様と準備してきました「仁淀川町防災キャンプ」も中止、地域の史ウ号防災訓練は、衆議院選の関係で延期(10月27日が12月1日)になる事態になりました。

 懸命に真摯にっ取り組んではいますが、「運も悪い」としかいいようのない事態になり、自分の非力を感じ落ち込んでいました。

 でも一方で18歳から70歳まで52年間うじうじと「孤独に」悩んできた問題も半分ぐらい解消できました。悪いことばかりではありません。

http://dokodemo.cocolog-nifty.com/blog/2024/06/post-b83a12.html
(「重信房子がいた時代」(油井りょう子・著・世界書院刊)を読んで

http://dokodemo.cocolog-nifty.com/blog/2024/08/post-f58837.html
(映画「ゲバルトの杜・彼は早稲田で死んだ」)

 18歳の少年(高校生)は長い長い先の見えない暗いトンネルの闇の中にいました。70歳の時ようやく外に出ました。今は71歳になりました。

 今回きたやまおさむさんお著作「むなしさ」の味わい方(岩波新書)を読んで、わたしは52年間も「むなしさ」を味わっていたのであったと思いました。人生そんなものかもしれません。

 仕事も地域活動も社会参加もうまくいかないことばかりです。焦らず「むなしさ」を敵視せず、自分のペースで乗り越えてみます。
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 脳ドックの医師は精神科医ではないでしょうが、「ヨットは脳幹トレーニングにはいい」と言われました。今年はヨットのほかにSUPも習います。「71の手習いです。主たる目的は、今の居住地域(海抜0Mの二葉町)は、南海トラフ地震が起きたら水没します。地域の防災会長としてSUPで住民の安否確認をしますので、基礎からの習いが必要だからです。

 自分の限界、体力と気力の衰えを思い知らされた2024年でした。悪いことではありません。できる範囲内で、やるべきことはやり続けます。

2024年8月27日 (火)

monnsuta-baxtuの野外コンサート


 2024年8月24日(土)は香川県まんのう町で開催されます四国最大の野外コンサート「monnsuta-baxt」に朝は午前7時半バスで家内と一緒に来行きます。猛暑が想定され、日中は歩き回るので、朝のリハビリウォーキングは、超軽めにしました。
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朝7時過ぎがバスの集合時間。車で高知駅周囲の駐車場に車を置き行きました。1日のチケット代が12000円。バス代が13000円です。会場までバスは行くので値打ちはあります。

 午前7時前に高知駅近くの駐車場に車を置きました。暑さ対策。雨対策満載のリックを背負い高知駅へ。コンビニでおむすびを買いました。私が背負うリックには氷結したスポーツドリンクが8本保冷袋の中に入っています。
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 野外コンサートと言えば36年前の1988年に、自分たちで企画したことがありました。その日も暑い日でしたが、何せ当時は34歳と若者でした。

https://kenchan-radio.sakura.ne.jp/dokodemo/whatnew1/okamura/f-tosa1988.html
(1988年も高知県最大の野外ロックコンサート)

 バスで到着してから現地の猛暑にはうだりました。
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 到着したら暑い事。おまけに入場制限するのでアスファルトの駐車場の路面に座って待ちました。それだけで年寄りはグロッキーです。

 ようやく中へ入りました。会場が見える場所はすでに先発くみがおさえています。日陰のある緩い斜面を発見。そこで入り口でいただいたシートを2枚敷きました。演奏や歌声は大きく聞こえます。姿は見えませんがいいんです。
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 見ようとすれば炎天下に日陰のない場所で見ないといけない。それは家内がしていました。私は荷物番しながら昼寝しました。何とか耐えました。トイレも近いし、売店も近い場所。

 昼過ぎに1400円のポークカレーを家内が買ってきてくれました。家内の贔屓のバウンディとかいうバンドも見たそうです。
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 帰りはどんくさい若いカップルが遅れてバスに来たので30分遅延。自宅したのは22時過ぎでした。70歳の老夫婦は猛暑の野外コンサートを乗り切ることが出来ました。
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 ほとんど昼寝していましたので今日のリハビリウォーキングは、8208歩にとどまりました。
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2024年6月11日 (火)

BEGINは面白い

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 2024年6月8日(土曜)ですが、安手のp久しぶりの「海の散帆」(セーリング9に大満足後に、家内と一緒にBEGINのコンサートへいきました。
http://dokodemo.cocolog-nifty.com/blog/2024/06/post-0f0b39.html
(梅雨入り前の海の散帆)

 BIGINは沖縄石垣島出身のバンドであり、三宅裕司がやっていた「イカ天」で優勝したユニークなバンドという印象しかありませんでした。「島人ぬ宝」とか「恋いくて」ぐらい以下知りませんでした。

https://ja.wikipedia.org/wiki/BEGIN_(%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%89)


 17時から始まる高知県民文化ホールのコンサートい。17時からはじめるという開始時間のはやさもあり。当日は海から午後2時半に自宅に帰り、早めの夕食を午後3時過ぎに食べ、4時過ぎの路面電車で行きました。

 観客は私らのような老人から、子連れの世代や、若いカップル、赤ちゃんずれの複数の家族ずれなどが詰めかけていました。子連れOKのコンサートなんだと感心しました。
お天気コンサート1_NEW
「お天気ツアー」というコンサートでした。全国26か所を巡回していました。高知県民文化ホールは、高知県最大の収容人数(僅か1500人9です。BIGINはおしゃべりも多く、なんだかライブハウスにいるような気分でした。観客とアーティストの距離が近い。


https://www.youtube.com/watch?v=yjY6EuqbA90
(YouTube沖縄芸能フェスティバル2016年)

 写真・録画禁止なので、会場の雰囲気は再現できませんが、珍しく老若男女が楽しめるコンサートでした。ボーカルの比嘉栄昇さんが「子供さんが泣いても外へ連れ出さなくていいから。皆で楽しみましょう!」というよびっかけはとてもいいですね。子ずれの人達が10数組以上いましたから。

 また魚のマークを描いたグッズTシャツを着用した人たちが多くいました。根強いファンが多い。でも高知へは11年振りだそうです。終わりの方は観客皆総立ちで一緒に踊っていました。「ダブルヘッター」でしたが最後まで寝ることなく楽しめました。
BIGIN
 8月24日はまたまた家内の付き添いで香川での野外コンサートへいきます。翌週は仁淀川町での「防災キャンプ」の予定なので、体調管理が課題です。70歳代の老夫婦が野外コンサートを乗り切らないといけないですから。
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2024年5月18日 (土)

VANDYライブビューイング

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 2024年5月11日ですが、父吉正の7回忌と墓参りをすませ、軽い夕食を食べて、家内と一緒に禿鷹スーパーの映画館に行きました。「Vaundy one man live ARENA tour replica ZERO VAUNDY ONE MAN LIVE ARENA TOUR REPLICA ZERO 」とかいうなんだかよくわからない男性アーティストのライブビューイングでした。

 禿鷹スーパーの映画館に家内と一緒に行ったのは昨年9月30日の「サザンオールスターズ茅ヶ崎ライブ」以来ですね。7カ月ぶりでした。

http://dokodemo.cocolog-nifty.com/blog/2023/10/post-f106d6.html
(サザンオールスターズ茅ヶ崎ライブ2023)

 VANDYというバンドは全く知りませんでした。家内が言うには「コロナの頃、YouTubeで見ていた。面白いバンドであると思った。米津やONEOKやYOASOBIとはノリが違う。」とか。今年も10都市でアリーナツアーを開催し、すでに売り切れているとか。
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 当然知らない曲ばかりで、日本語で歌っていますが、目をつぶり耳を澄ませて聞いても「何を言っているのか」わかりませんでした。映画館には50人ほどが来てはいました。若い層が多く、私ら年寄り組はいませんね。

 調べてみると日大芸術学部に通学中に、動画チャンネルなどで曲を公表し、ライブツアーもはじめたとか。なにせ2000年生まれで23歳とか。「孫世代」ですね。聞いていてバンドの演奏レベルは高い。2022年のNHK紅白にも出演したとの事でしたが、知りませんでした。
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 「卒業作品」とかで自分でパッケージデザインしたCDケースに楽曲を入れて販売したものを、家内は既に通販で購入していました。わけのわからない歌にもちゃんと歌詞があるようですが、字が小さく読みにくいこと。高齢者を想定していない楽曲づくりですね。若さの特権でしょうね。

 日本の音楽業界はアメリカについで世界第2の市場とか。欧州よりでかいようです。政治が介入せず、裏金や政治献金とは無縁な世界なので、活力があるんでしょう。自民党を含めた「腐りきった政治の世界」をぶっ壊した方が、日本は再生されますね。わけのわからな音楽を聴いていてそう思いました。
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2024年4月 3日 (水)

 高知HOTARUプロジェクト5年ぶりに再開

仁淀川町のHOTARUプロジェクト・2023年度_NEW
 DUKEさんと四国舞台テレビ照明さん2社に企業協賛いただき、2015年からソーラー街灯を自治体に寄贈いただいています。コロナ禍で5年振りに再開いただきました。わたしが取り次いだのは、高知市分8基と、仁淀川町分11基でした。
年田植え体験2014 - コピー
 仁淀川町は13年前から二葉町が「もしもの災害時に疎開を前提とした顔の見える地域間交流」をお願いしてきた地域です。2012年からは長者地区の皆様には、田植え体験、稲刈り体験や地域のお祭りにご案内いただき交流させていただきました。また下知地区の地域イベントに仁淀川町の食材を持参いただき販売もしていただきました。大好評でした。
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 そうした住民同士の信頼できる地域間交流を踏まえ2022年に仁淀川町と高知市の高知県初の広域避難協定が締結されました。2024年1月20日に高知県初の「広域避難(疎開)訓練」がおこなわれました。

http://futaba-bousai.cocolog-nifty.com/blog/cat43975382/index.html
(仁淀川町と二葉町の交流事業・2011年からの地域間交流事業です)

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 仁淀川町のだんだんの里付近や、広域避難所になった泉川多目的集会所にも設置されました。DUKEさんと四国舞台テレビ照明さん2社に企業協賛で実現した高知HOTARUプロジェクトによる太陽光ソーラー街灯設置を地域間交流の後押しに活用させていただきました。ありがとうございました。

2023年10月21日 (土)

高知ホタルプロジェクト再開なるか?

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 2023年10月20日ですが、午後から高知市役所総合あんしんセンターで会合に行きました。用件は高知ホタルプロジェクトの再構築が出来るかどうかです。

 

http://futaba-bousai.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-06e0.html

 

 高知市の方では、2015年から17年頃まで約100基程度の太陽光発電LED照明ポールを建てました。その後は市役所側の「情報共有」が上手く機能せず、トラブルや行き違いに対処する体制が構築できなかったこともあり、沙汰闇になっていました。
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 また物納なさっていた企業側も2020年から3年間はコロナ禍でコンサートライブが出来なくなり、照明ポールを市に提供するどころではなくなる厳しい時代が続いていました。今年の5月以来にコロナが2類扱いになり、コンサートやライブが再開され、どのコンサート会場も大盛況でした。モンスターバッシュの野外コンサートも5万人が詰めかけたようです。音楽業界の業績は「V字回復」されたようです。

 

 要は高知市側が災害対策部地域防災推進課だけでなく、地域協働部のくらし・交通安全課とも連携し、市役所内部で情報共有し、人事異動しても安定した調整機能が市役所側がきちんとできるのかどうかの問題です。

大きな組織だけに「方向転換」や「新しい情報に対する機能する仕組みづくり」が難しく、どうしても外部から見ると「緩慢」に見えてしまいます。

 

 いずれにしても再スタートしました。

2023年10月 4日 (水)

サザンオールスターズ茅ヶ崎ライブ2023

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 2023年9月30日ですが、今年で結成45年目というサザンオールスターズですが、リーダーの桑田佳祐さんの出身地である神奈川県茅ケ崎市で「サザンオールスターズ茅ヶ崎ライブ」が4日間にわたり行われました。
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 会場の茅ヶ崎市市営球場の収容人数は2万人ぐらいでしょう。あとは全国各地200数10か所の映画館でライブビューイング(有料)が開催され10万人が楽しみました。

 わたしは氏原香澄さんから2枚ライブビューイングのチケットを譲渡いただき、家内と高知の東宝シネマズに行きました。大画面のコンサート風景は迫力があります。
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 私はサザンオールスターズの熱心なファンではありませんが、彼らがデビューされた1978年は、私は神奈川県川崎市武蔵小杉に居移住し、担当営業地域が横浜,横須賀、三浦、逗子、葉山、鎌倉、藤沢、茅ケ崎、平塚、小田原など湘南地域でありました。

 ライブビューイングで歌詞を聞いていますと、知らない曲も多かったですが、地名に親しみがあります。

歌詞にある大黒ふ頭やハーバ-ビューは横浜の風景ですね。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000972.000030117.html

ボーカルの女性は辻堂(藤沢市)の出身とか。仕事で辻堂にある
藤沢市下水処理場へ仕事で行きました。すぐ隣が茅ケ崎です。

当時サザンの曲に「ハードブレイクホテル」という廃墟になっていたホテルもすぐ近くにありました。(上原健と加山雄三が出資したもののすぐに倒産しましたホテルです。9

大画面に映っていた江の島やエボシ岩は国道135号沿いにあり、歩道橋や工場の屋根、マンションの鉄部の錆対策工事などで現場を立会していました。
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 休みの時は江ノ電で藤沢から鎌倉へ行きました。海が開ける沿線になると江の島から学連(関東大学ヨット連盟のヨットが100艇ぐらい出て帆走していました。沿岸では数百人のサーファーがサーフィンしていました。

 担当得意先のオーナーがヨットマンであり、セーリングに対するあこがれが醸成されました。オーナーについて江の島や逗子のマリーナにも行きました。

 こちらは背広姿なのに、ヨットで颯爽とマリーナから出艇していく風景は眩しかったです。こちへ戻りヨットを始めたのは湘南地域で仕事していたし、それがサザンのデビューの頃と重なっていましたね。
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 サザンの曲を聞きながら若いころの時代を思い出していました。一段落したら海へ行きたくなりました。

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