繫栄と安保 両立を 読売新聞の観点(その2)
2022年5月15日の読売新聞。2人の識者はそれぞれ「日本国の国益」「変化した国際情勢」からの観点から論評しています。
全駐米大使の杉山真輔氏は「基地負担減は 同盟に有益」と言われています。
「沖縄の基地負担の問題は、米国でも、私と数10年来の親交があるマイケル・グリーン氏のようなプロはよく理解してくれていた。
だが例えば米議会上院外交委員長、米国務長官、国防長官などまで本当に理解しているかどうかは疑問だ。」
「私も米国でできるだけ説明してきたが、まだ足りない。日本政府は、さらに伝えなければならない。専門家だけが議論する時代は終わった。」
「日米地位協定の改定なども、米国の多くの政府関係者は、そういう話をする人は、反米・反安保の持ち主だ・日米安保の基礎を崩しかねないと考えているが、必ずしも正しくない。」
「日米安保強化は必要だが、負担を減らすべきだと考えている人は多い。その点を米国人に理解してもらわないtぽいけない。」
杉山氏は駐米大使として、沖縄の負担軽減を米国政府関係者に懸命に説明されていたことはよくわかります。ですが、米国政府の首脳(国務長官・国防長官)や議会上院外交委員会などに浸透しきれていないようですね。日本政府全体の外交力が不足している証拠です。
ウクライナは、その点外交努力は物凄くしています。主とキールにいるゼレンスキー大統領に米国の国務長官、国防長官が直接面談に行きました。下院議長も訪問しています。大統領夫人もウクライナ西部でゼレンスキー大統領夫人と意見交換していました。要人を動かしています。日本はそこまで全然行っていません。
各国議会でのオンライン演説も含め、外交戦ではウクライナの圧勝です。万が1中国から日本が軍事侵攻を受けた場合。現在の自民党政府はウクライナ政府のような戦時外交ができるのだろうか?とても不安を感じます。
琉球大学の山本章子氏は「わかりずらい地域協定」は地元沖縄ならではの観点からの問題提起を感情的にならずに淡々と述べています。
「何が分かりづらいかというと、条文を読んでも実際の問題とどのようにつながっているのかが分からない。」
「たとえば2004年に沖縄国際大に米軍ヘリが落ちて炎上した事故では、米軍が現場を占拠して規制線をはり、誰も日本の関係者が中に入れなかった。
地位協定のどこを読んでも、米軍にそれができるとは書かれていない。条文ではなく(協定の運用を日米両政府が定めた)「合意議事録」にそれを可能にするような運用が書いてある。」
「このようにわかりづらいことが、米軍に対する県民感情を悪化させ、基地問題の解決策を見いだしにくくしている。」
「これは尖閣、台湾有事にも関わる問題だ。有事では米軍にとっても民間の空港や港の使用が重要だが、湊を使った米軍の訓練を漁協の人々が体を張り阻止したことがある。
彼らは反米的な思想の持ち主ではないのだ。」
要するに住宅密集地に隣接している普天間基地は、米国本土でありえないと思いますね。また沖縄県民の多くが反対している辺野古沖の埋め立て移設も、米国本土の住民自治からすれば「ありえない」話です。
住民感情を逆なでする自民党政府(清和会)の強引なやり口が沖縄県民を分断し、地域で不毛な対立を生み出しています。
ここへきて「台湾有事は日本の有事」「南西諸島への自衛隊配備とミサイル基地建設は当たり雨。米軍との合同訓練も当然」「生活が大事だと島民が反対するのはわがままである。」と言い立てる検討違いなひとたちもいます。
憲法を改正して有無を言わせず防衛体制を構築しなければ日本は中国に侵略されます。とやたら煽り立てる人たちが多いこといには呆れますね。
山本章子氏の言われるように「日米合同委員会」の合意からきちんと日米地位協定を見直す地道な努力が日米双方にひつようですね。
国民の異論を「有事を名目に強引に抑え込もうする」傾向が強い一部の自民党議員は、国民を分断する存在です。いまこそ「合意形成」の重要性を再認識すべきです。
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