感染症対策(公衆衛生)と集客装置・都市の形成
私は学識者や研究者ではないので、自分の考え方の「出展元」や「著作の何ページに書かれていた。」という記述をすることが出来ません。ですので昔読んでいた本の内容を自分が取りこんで、自分の言葉で「感染症対策(公衆衛生)と集客装置・都市の形成」という題目で雑文を書いています。
30年ほど前に個人的に「都市再開発問題」に興味を持ち、当時所属していた高知青年会議所で3年間「都市再開発セミナー」という連続講座を開催したりしていました。当時はバブル全盛時代で、アメリカで開発された再開発の商業施設や店舗や「集客装置」に興味を持ち、専門外の1市民が書籍を読んだり、専門家の話を聴講したりしていました。
19世紀の欧州では内乱と階級闘争と革命の最中に疫病も流行し、公衆衛生の概念が成立し(公衆衛生法1848年)都市の衛生環境が劇的に改善されました。
エンゲルスの著作「イギリスにおける労働者階級の状態」のなかで、当時の労働者の藤堂形態は過酷そのもので、住宅の衛生環境も劣悪であった。家族の汚物を道路にまき散らしたりしていたとか。
当時の公衆衛生を記述した本(なんだか忘れました)は、産業資本家は郊外の環境のいい場所に庭のある住宅に住んでいた。工場のある町の工業地区へ行く途中に劣悪な労働者住宅があり、衛生環境も劣悪。いつしか疫病が労働者間で流行し、資本家階級にまで感染する事態になりました。
それで国は公衆衛生法を制定し、労働者住宅の衛生環境の改善、公共下水道の整備や水道の整備など、公衆衛生の改善事業を英国やフランスでも莫大な事業費で行いました。怪盗ルパンが逃げる公共下水道もパリの公衆衛生の改善に大いに役立ちました。
公衆衛生の確立が出来て初めて、今風の都市形成が可能になりました。百貨店や映画館、劇場、サッカースタジアム、商店街、動物園、遊園地、鉄道駅舎、港湾設備などは「集客装置」と呼ばれています。
公衆衛生が確立したから、人々が安心して集まり、密になり、観覧し、買い物し、飲食する楽しい都市空間が誕生しました。19世紀から20世紀にかけて出来上がった都市はたくさんの「集客装置」が集積しています。
都市は「社会サービス・システム」とも言われ、形を変えながら、人々を魅了し、多くの人口を都市部に吸収してきました。
21世紀の疫病である新型コロナウィルス感染症は、19世紀から20世紀をかけて確立してきた都市の「集客装置」を全否定する存在でした。多くの都市では都市閉鎖し、集客装置を閉鎖し、利用禁止にし、人間同士の交流を禁止しました。
解決策は多くの感染症と同様に、予防するためにワクチン開発と特効薬の開発以外はありません。
事態は始まったばかりであり、今後都市がどう変化するのか、疫病は収まるのか。難しい課題は延々と続くことでしょう。
19世紀は公衆衛生事業が解決しました。21世紀はどのような事業が疫病を抑え込むことができるのか?興味深いです。
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