新しい「仕組み」をつくる時期には知的な議論が必要ですね。
映画「三島由紀夫VS東大全共闘50年目の真実」を見ました。
どうして東宝シネマズ高知での上映なのかわかりませんでしたが、2020年3月28日は、「三島由紀夫VS東大全共闘50年目の真実」(豊島圭介監督作品)を家内と2人で見に行きました。観客は10人ほど。私らずれの爺さん婆さんではなく意外にも若い人たちが8人来ていました。
作品の解説には以下のように記述されていました。
「小説家・平野啓一郎氏は「社会を変えていくのは言葉なんですよね」と三島の思いを代弁し、東大全共闘の芥正彦は「言葉が力があった時代の最後だとは思っている」と分析。」
「また、自身の著書で三島を取り上げてきた神戸女学院大学名誉教授の内田樹氏が「この1000人を説得しようと思っているんですよね」と語り、三島と文通をしていたことが広く知られている作家え僧侶の瀬戸内寂聴氏が「あんな目、見た事ない」と話す光景が収められている。」
51年前の真剣勝負の言葉のやり取りは真摯に行われていました。三島由紀夫は「上から目線」ではなく。自分の言葉で丁寧に話していました。東大全共闘側の対応も三島氏に敬意を払い、言葉できちんとした討論をしていました。
特に茶正彦氏(東大全共闘)は自分の子供をあやしながら討論に参加、場を和ましただけでなく、時に三島氏を立ち往生させるような鋭い舌鋒を放っていました。大学を除籍後も演劇人として今でも活躍されています。
全共闘側の司会をしていた木村修氏は卒業後地方公務員になられたとか。三島宅に電話し出演交渉をしたそうです。橋爪大三郎氏は学識者の道を歩まれ、「その後:のことを今でも考え続けています。
内田樹氏(仏文学者。大学教授)は、両者を評価し褒めています。考え方が対極であったとしても対話ができることが素晴らしいと言っていました。
1969年と言えば私は高校1年生でした。サッカー部に入部しながら高校生反戦会議の結成大会へ参加していました。取材に来られた朝日新聞の記者さんが東大全共闘だったことを聞きました。
父が行く末を心配し、夏休みに比叡山で1000日行をされていた住職のところへ1か月間行きました。若手僧侶と一緒の合宿生活でした。そこへ大手薬品会社の管理職をされている人も来られていました。多分仕事で悩まれていたんでしょう。東京大学を卒業された理工系の人でしたが、幅広い文学的な教養があり話は退屈しませんでした。
やはり東京大学の卒業生はレベルは高いなと思いました。50年前と言えば今ほど大学進学率も高くはなく、東京大学はその中でも大学の中の大学であったんでしょう。
国家のありかたや社会システムを再構築しなければならない時は、知的な作業が必要です。ときに異論をちゃんと聞き、反論し、より高い議論をしていく真摯な姿勢が必要です。
51年前にそうした場が東京大学の駒場の教室ではありました。今の時代は「議論をしない」「分断して罵倒する」人たちがやたら目立ちます。そういう「劣化した」時代に生きているので、あらためてこの映画をみて感動を覚えました。
私などは当時も今も「行動派」「実践派」なので、知的な議論を軽視しがちですが、実はとても大事なことではないかと真底思いました。
社会運動を体験した人も、されなかった人もお薦めの映画です。
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