「福島の事故から何を学べばいいのか」講演会へ参加しました。
2016年4月10日は、人権啓発センターでの講演会「プロメテウスの罠取材で知った福島の人々」(講師・朝日新聞社・東京本社・文化くらし報道部BE編集部)依光隆明氏)を聴講しました。主催は原発をなくし・自然エネルギーを推進する高知県民連絡会(共同代表外京ゆり・徳弘嘉孝・山崎秀一)です。
会場が溢れるほど200人に近い参加者が来場していました。普段合わない知り合いの人に多く会いました。家内は美容院へ行きました。自宅からは往復徒歩で行きました。
司会進行は外京ゆりさんがされました。「依光隆明さんは高知新聞記者時代は社会部で県闇融資問題を追及されていました。朝日新聞へ転職されてからも福島原発事故の検証をされておられます。ご清聴下さい。」と言われました。
「2011年3月11日に東日本大震災が起きました。東京電力福島第1発電所はその時津波で浸水し多くの設備が破壊されました。」12日に1号機が水素爆発しました。14日に3号機が水素爆発しました。15日に甚大な放射性物質が出ました。
最初は南の風でしたが、夜になり南東方向からの風になり、雨と雪が降ったので放射性物質が地上に降り注ぎました。」
「3月15日夜 浪江町昼曽根で毎時330マイクロシーベルトが検出されました。3月17日夜に飯館村長泥で、毎時95マイクロシーベルトが検出されました。福島原発から33キロ地点。」
事故当時政府は福島原発から20キロ以内は強制避難。30キロ以内は屋内待機だったそうです。33キロ地点での高濃度の放射性物質の検地は驚きでした。現場の担当者が懸命に測定し、霞が関に報告しても、「そんなことはありえない」という無責任な対応が相次ぎ、首相官邸まで貴重な現地情報が伝達されなかったそうです。
「飯館村は農業の村。敗戦後開拓され農業で成り立っていて、原発マネーの恩恵はまるでありません。災害当初は沿岸部から避難民が多数やって来て、住民は炊き出しをし、おむすびをふるまっていました。」
「しかし自分たちは普通の服装をしていているのに外からやってくる人たちが皆防護服を着用していました。住民が疑念を持ち始めた時に長崎大学の竹村先生は放射能は大丈夫と発言されました。」
「原子力安全委員会の記録にも、福島原発から30キロ以内は危ないとの記録がされていました。30キロ以内が危ないということにあんると国民がパニックになるだろうとの国の配慮で公表はされませんでした。」
「国側は混乱することをひたすた恐れ住民は情報が得られず見捨てられました。」
「しかしアメリカは日本在留の米国人に対して、独自に福島原発から80キロ以内からの退避を要請しました。日本政府は20キロ以内の退避を言っている時にです。
米国側の根拠は4号機の危険性からでした。そこには使用済み核燃料が783本と使用中の核燃料が548本あり、合計1335本の核燃料が保管されていたからです。もし4号機が爆発したら250キロ圏は強制退去になり東京・神奈川はアウトで関東は人が住めなくなっていたのです。
4号機は偶然水が張られていて、水素爆発で壁が吹っ飛び幸運にも大量の水が核燃料プールに流れ込み事なきを得ました。まさに日本は偶然助かりました。」
「事故対策マニアルでは13の省庁から45人の官僚がオフサイトセンターに駆けつけることになっていました。実際に来たのは5省庁の26人しか来ることが出来ず機能不全でした・。
いくら立派なマニュアルや対策してあるから大丈夫なんて言えないですね。伊方でも同じことが起きる可能性だってあります。」
「放射能測定装置のスピーディの173枚のデータは1枚も首相官邸に届いていませんでした。住民無視もはなはだしいものです。」
「文科省の官僚はそんな数字は出る筈はないと無視し、報道する側も小さな記事しか出しませんでした。」
事実誤認の情報が何故生まれたのか?依光隆明さんは解説しました。
「放射能測定の現地の専門家2人は困難な状況の中で測定を繰り返し、正確な情報を霞が関へ送り続けていました。しかし現地の事情はことごとく無視されました。そういう場合報道機関が現地で検証し取材すべきですが、当時は現場が永田町になり官僚組織と東京電力本社が現場なり、現地取材が疎かになりました。
官邸や官庁や東京電力の発表を掲載し報道すれば楽ですし、その情報が間違っていても、官邸や官庁や東京電力の責任であり報道機関の責任ではないと言う安直さが横行しました。」
「すぐに専門家と称するひとをマスコミは使いますが、オールマイティの専門家なんていません。たとえば宮崎を言う原子力工学の専門家の見解として、福島原発の北西側が多く汚染されていることに関して、「山があり風は北西風なのでありえない」とか気象学の専門ではない発言をしています。風が常に方向が変わることは漁師さんならだれでもわかることでしょうに。」
「霞が関も新聞社も住民が対象地域に住んでいるのに「見ないことにして」いました。
「取材して思うのは、現地の住民(国民)は冷静です。パニックになっていたのは霞が関と東京電力でした。」
「福島原発直後は大本営発表だと国民の批判がありました。今はまた政府発表をそのままの報道に戻りました。確かに労力をかけて記事を書いても売り上げには繋がりません。ですが読者が新聞社をチェックしませんといけないのです。新聞は読者が育てるものですから。。
読者の側も面白い記事はいいと言い。つまらん記事はつまらんと言うないと伝わりません。」
「報道は、権力の不正や隠し事を掘り出して吠える「ウォッチ・ドック」(番犬)でなければいけないはず。それがポチ(権力の飼い犬)になれば終わりです。」
「情報は独自に住民側も収集し、判断しないといけない。行動する場合に必ず責任を取る人が必要です。国も県も逃げ回りましたが、三春町は全員に安定ヨウ素剤を飲ませました。それは副町長の深谷さんが「俺が責任を取る」と言われたからです。
「不幸になった人の教訓をくみ取ること。2度と不幸にならないようにすること。県などは避難計画をつくっているから安心だと言うのではなく、住民1人1人が事故が起きた時どうするのかを検証しないといけない。」といけない。
講演終了後も8人から質疑応答がありました。盛況のうちに講演会は終了しました。
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前略
お世話になります。
危機管理アドバイザーの尾下と申します。
熊本地震で学んだことをご参考にして頂ければ幸甚に存じます。
防災教育から減災教育へと転換
現在の防災教育は体験型へシフトしながら、効果的に防災を学ぶ場へと努力されています。災害時に被害を最小限に止める減災教育は、従来型の平面的防災教育から経験値(知)を組み込むことによって、被災地支援と地域防災の双方がつながる可能性が生まれます。
被災地に関わった個々人が得る強い利他や貢献の行動と感情を地域に還元出来れば、地域防災の取り組みが質的に向上します。現実の災害とは切り離されて行事化していた防災教育や防災活動が、具体的な被災地に的を絞って、そこと我が地域を重ねてイメージすることで、救命や避難の仕組み、他地域を支援する行動から地域防災の課題も見えてきます。
災害教育は単に現場での防災教育(被害の最小化を学ぶ)ではありません。災害に関わる個人の内的な成長(思いやりの心)と判断力、行動力、精神力の向上をもたらす相乗効果が期待されます。
防災教育から減災教育へと歩を進めることで得られる効果は、被災地に訪れる人々に対して、被災地の現場や景色ではなく、生活の場であったことをしっかりと伝えていくことが重要です。
被災された人々の声を直接、聞ける機会を持つことで、訪問者の心には確実な変化が訪れます。
小職の経験値(知)らが申し上げましと、これは、「防災学」という一つの学問と捉え、現実を直視しつつ悲しみの不の連鎖を少しでも止められるように、できる限り過去を知り、伝え、そして未来に生かしていくことが私達に与えられた使命だと思います。
これからも更なる精進をしてまいります。
尾下拝
投稿: 危機管理アドバイザー尾下義男 | 2016年5月12日 (木) 17時27分