下知地区防災計画の報告
2016年3月12日に、仙台市で開催されます内閣府主催の「地区防災計画フォーラム」に高知市下知地区代表として参加することになりました。住民代表の発表者となりました。
しかし、1地区の発表時間は僅か4分間。気力が萎える設定です。まとめをもとに原稿を柿、印刷し紙を見ながら音読しましたが、ゆっくり読むと最低で8分かかりました。
プレゼンテーションというものは、聴衆に短い時間で好印象を与えるもの。簡単ではないし、プロではないので早くもギブアップ気味ですね。
(1)高知市下知地区の概要
(自己紹介)
私は西村健一と申します。年齢は62歳です。小さな会社を経営しています。会社事務所・倉庫は同じ高知市下知地区にあります。家族は私と同年齢の家内と、96歳で慢性腎不全の父(要支援2)と、90歳の母(認知症。介護3)の4人で暮らしています。
高知市下知地区の自己紹介
高知市中心の播磨屋橋から東へ1キロの市街地。広域下知地区の世帯数は平成22年度で8200世帯、人口は1万6000人。全域が海抜0メートル、軟弱地盤で河川や海に隣接しています。自然地形の高台は皆無。事業所や商業施設、学校や保育所、病院、高齢者施設もあります。
1946年の昭和南海地震では下知地域全域が地盤沈下し、長期浸水状態に。1970年の10号台風でも大雨と高潮で全域が水没しました。
雨水対策は大下水工事と排水ポンプ場設置で時間雨量77ミリに対処でき、浸水しなくなりました。しかし南海トラフ巨大地震では、地盤沈下と浸水被害が予想されるので、経済的に余力のある企業や個人は高台地区に移転し、下知地域では空き地が増えています。
想定される南海トラフ地震の震度は7.全域が海抜0メートルで海に隣接した軟弱地盤。自然の高台は皆無であり、避難場所はビルしかありません。70年前の昭和南海地震でも甚大な被害と浸水被害、長期浸水した地域です。地震と津波で大きな被害が予想されます。
(2)下知地区の取り組みと事前復興計画の必要性
都市部の市街地で、単位自主防災会組織の結成も2007年頃からでありました。町内会、マンションをベースにした単位自主防災会の連絡組織として2012年10月に下知地区減災連絡会が16の下知地区の自主防災会が参加し結成されました。
主な活動内容としては
*防災講演会・防災セミナーの実施
*2年前に住民と市役所が協働して「昭和小校区津波避難計画」を策定しています。
*防災訓練(情報伝達・炊き出し訓練・避難所開設訓練・避難所運営訓練の実施
*防災世帯調査の実施
*昭和小学校で防災学習への協力と連携。
*マンション防災力強化の取り組み
*疎開を前提とした他地域との連携と交流
下知地区では、「地区防災計画=事前復興計画をつくる必要性」があります。
〇南海トラフ巨大地震は今後30年来に70%起きると予想されています。
〇家屋の倒壊、浸水。津波、地盤沈下、長期浸水は必ず起きます。
〇被災直後に、まちづくりを考える余裕はない。(未だにいつドライエリアにいけるのか。どこへ避難するのか、いつ戻れるのか、いつ浸水が解消されるのか行政側より明確な回答はない。)
〇あらかじめ被災後のまちづくりを考えておくこと。事前復興計画が下知地区では必要です。
〇復興が遅れますと、若い人たち、現役世代が下知地区から出て行きます。戻って来ません。
(3)下知地区防災計画の策定(その1)
下知地区防災計画は3つの要素から出来ています。
*「命を守る」(揺れや津波から身を守ること)
*「命を繋ぐ」(長期浸水地区での避難所の開設・運営・避難生活全般の管理)
*「生活を立ちあげる」(速やかな復旧・復興のための合意形成が必要)
下知地区は、既に2年前に「昭和小校区津波避難計画」を策定しています。
アドバイサーの鍵屋一さんには、住民の合意形成を行うためのワードカフェを4回ご指導いただきました。参加者が、テーマに沿って自由に意見を出し合い、集合知を紡ぐことで、意見が活発化し、前向きな提案が数多く出ました。
●第1回目検討会(都市復興を考える)平成27年9月
被災後のまちづくりについて
●第2回検討会(生活復興を考える)平成27年11月
高齢者・現役世代・子供たちの課題
●第3回検討会(復興のコンセプトを考える)平成27年12月
事前復興のコンセプトについて
●第4回検討会(下知地区が幸せになる物語を考える)平成28年1月
コンセプトを達成するための幸せになる物語
(4)下知地区防災計画の策定(2)
下知地区防災計画では、住民発意の事前復興計画「あるべき下知のまちづくり・しあわせになる物語」を議論し、住民合意を継続して目指しています。津波や、浸水、地震に強いまちづくりを広範な住民と行政職員とで議論をしてつくりあげていきます。
復興計画のコンセプトイメージ
「子供たちが伸び伸びと遊べる、どこか懐かしいまち。下知」
「みんなが考えた 幸せになる物語」
→地域コミュニティの再構築と創造がともなうこと。
◎自分たちがつくった事前復興計画として、魂(意欲)に入った仏(計画)とします。
◎より多くの地域住民の参加を募り、引き続き検討を行い、合意形成を目指します。
◎個別計画(命を守る、命を繋ぐ、生活を立ち上げる)を策定を進めます。
時間があれば、こういうことを言いたいです。
8年前から交流のある神戸市長田区鷹取東地区のリーダ-石井弘利さんはこう言われました。「住民側は集まって、まちづくり協議会をこしらえて、地域の要望を役所に言うことや。言わないと何も始まらん。それをせんと文句ばかり言っても何も変わらん。
住民側も勉強せんといかん。役所に対抗するには勉強が必要や。地域の絆を強めて、地域からの要求を聞いてもらうことや。まちづくり検討委員会のメンバーには役所の人にも入ってもらい、一緒に地域づくりをやっていたらえいと思う。
いずれにしろこの地域は南海地震が来るのだから、その時に困らないように、地域の地盤のかさ上げをするとか、耐震地盤をこしらえるとか、耐震高層住宅を建てるとか地域の要求を行政側に出すことや。それを地道にやっていくことです。」
昨年宮城県の石巻市、東松島市、名取市を訪問し、住民の皆さんと交流しました。そのなかでいちはやく集団移転され、自宅や職場を再建されておられました東松島市矢木西立沼地区まちづくり協議会の皆様は、住宅の移転と農業の再建いちはやく成し遂げられています。
地域の合意形成が早く、行政側と共同して移転計画を練り上げたことが大きいのではないかと思いました。わたしたちも「下知地区事前復興計画」をこしらえます。可能なら事前に事業のいくつかは着手し、震災対策、津波対策を行いたいものです。
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コメント
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東京で防災士をやっています。南海トラフ地震での津波対策でノアの方舟方式の船、ゴムボート、救命胴衣、ヘルメット、GPS機能のついた携帯等を備えておくべきと考えています。津波に対して、ノアの方舟の洪水の現代版を造船会社に作ってもらい、病院等の屋上または庭に置いておく。漁船で沖に逃げる時に一緒に乗る、逃げ遅れた人、逃げる時間がなかった人、逃げる時に車の渋滞で逃げられない人にはゴムボート、救命胴衣、ヘルメットを準備して津波の応急処置などが必要ではないかと考える。
また、太平洋側と日本海側の自治体の相互援助協定を結んで、それぞれの災害が発生した時に相互に援助し合う体制つくりをしておくべきと思います。また、首都直下型地震に備えて東京23区の自治体との相互連携・援助協定も模索しておくと、逆に南海トラフ地震で東京からの援助も期待できるかもしれない。
投稿: 一つの石 | 2016年3月 8日 (火) 11時11分