市民が関わる搬送トリアージ
2016年1月31日に今治市防災士会が主催されました自主防災研究大会。分科会の「市民トリアージと応急手当」についての自分なりのレポートをしていきたいと思います。
研修当日は講師の川上秀生(愛媛県立今治病院災害対策委員長)に講演と、今治市防災士会の砂田ひとみさんの応急手当と市民トリアージの話を聴講しました。
川上秀生氏は災害医療の専門家。日本の災害医療の歴史や経緯、DMAT8災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム)での経験もあり、実践的な話をしていただきました。
大災害時(南海トラフ巨大地震)などが発生しますと、現在の医療体制では、命に係わる重症者の救命・治療が十分に出来ません。川上秀生氏は,大災害直後の医療の状況について率直に述べられています。
1)消防や医療で賄える数10倍の負傷者が発生する。
2)発生した地域全体(県全体)がどこも同じ状況となり、他を助ける余裕はない。
3)広域大災害では外(被災地域外)からの支援は分散し、遅れる。
4)地域だけで対処せざるを得ない時間帯が、大災害発生後24時間以上あります。
5)重症者の治療に有効な時間は、被災後48時間。
地域の総力(行政・消防・医療・企業・市民)をあげて対処するしかない。
「市民トリアージ」という言葉はまだ市民権がありません。死亡診断書は医師でないと書けません。良く報道機関が「心肺停止」とか言うていますが、それは医師が死亡診断していない遺体であると思いますね。同じ理屈で治療の優越順序を決めるトリアージは医師しかやってはいけないし、やれないのです。
でも大災害時は絶対的に医療資源が不足する。市民各位が応急手当てをマスターした上(止血・傷の手当・骨折の固定方法)で、「市民が関わる搬送トリアージ」をして重症者(赤・最優先)と、黄色(搬送や入院)、緑(応急手当で救護所へ行く人)を仕分けすることでしょう。
今治市防災士会の皆さんの寸劇でも、「どんな症状」が、赤(最優先搬送・治療)であり、黄色(搬送治療)であり、緑(救護所にて応急手当)に仕分けする事例がとてもわかりやすく演じていました。
地震災害で最優先すべきは、家具や家屋の倒壊で、「2時間以上重たいものに挟まれていた。」人です。すぐに処置しませんと死んでしまうからです。治療の前から水分を大量にとり、体の中の毒素を薄めることです。
意識を失いつつある人も最優先で搬送すべきでしょう。1人1人を市民トリアージするのではなく、集団で一気に「仕分け」をして、赤(最優先搬送)と黄色(搬送・入院必要舎)と緑(救護所で応急手当)が必要な人たちを正確に早く仕分け出来るようになることが、今治市防災士会が提唱する「災害時市民トリアージ」ではないかと思います。
応急手当もとても重要です。「止血・傷の手当・骨折の固定方法)は、全員がマスターしなければなりません。医療の専門家の人達に引き渡す前の、手早い正確な市民搬送トリアージができるようになりますと、救命率も向上するはずです。
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