単線型防災・復興対策から多様な視点をもつべし
2015年11月21日の高知新聞の「高知地震新聞」。高知市下知地域と交流のある徳島県美波町の「事前復興を見据えたまちづくり」の特集がありました。
昨年美波町の自主防災会の関係者の皆さんや行政関係者は、下知コミュニティ・センターで意見交換会をしました。
http://futaba-bousai.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-5095.html
南海地震の震源域に近いとされる故、地震発生後早い地域では、12分後に津波が押し寄せつという想定で、津波避難計画が練られていました。「3分で準備・3分で避難」という物凄い短時間での避難計画でした。
その後、海岸近くの住民各位は、高台の山に避難し、野営する訓練もされました。同じ町内の津波の襲来しない地区の自主防災会との交流も始めています。
http://futaba-bousai.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-c989.html
高台移転への事前復興計画も、徳島大学の協力支援も得て、準備をされていました。議論が始まっている事は凄いことであると感心しています。簡単ではないことが関係者各位がわかっただけでも大したものであると思うからです。
また東京大学生産技術研究所教授目黒公郎氏の講演では「巨大津波への防災態勢」として「コストから価値へ」というテーマでされました。
注目されるべきは、以下の発言です。
「津波から避難するための十分な時間の確保が難しい地域で、津波被害から災害弱者を守る新しい津波避難システムを提案したい。
津波避難タワー・ビルの整備はもちろん大切だが、お年寄りや子供らは上下の移動に時間がかかる。そこで提案するのが、自己浮上式の避難施設。台船の周囲に地下2階程度の穴を掘り、台船の上に2階建て程度の建物を建てる。
普段は地区センターや保育園などに利用し、津波が来れば台船の浮力で建物全体が浮上するーというものだ。」
目黒さんは「台船」という機密構造の船にこだわっています。
私たち低地の下知住民は、小谷鐡穂さんに「高密度発泡体による浮体構造物」を考案いただきました。こちらは船というより「筏」(いかだ)です。土木工事などにすでに使用されている高密度の発泡体を、穴を掘り人力で運搬し埋めます。そしてその上に土をかぶせ、普段は公園施設や集会所として活用します。
http://futaba-bousai.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-ce44.html
浸水や津波が来れば、浮上します。住民は平行移動して避難が出来ます。複合していいところばいいのではと考えます。また目黒氏はこうも言われています。
「また高台移転のために大規模な土木工事をして新たなインフラを整備すれば、維持管理も含め膨大なコストがかかる。
たとえば15階建てとか20階建てのビルを建てれば(住民が暮らすための)床面積を効率よく確保できる)(津波被害が懸念される)一回から階までは使途を制限し、住民にはそれより上の階に住んでもらう。
そうすることで全体コストを大幅に削減でき、将来的な維持管理費も少ないものが造れる。」
まさに高知市下知地域での地区防災計画の中での「事前復興対策」として耐震高層住宅を建設して、立体換地を活用して出来ないか検討してみたいところです。
http://futaba-bousai.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-55c0.html
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