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2015年2月17日 (火)

「耐震被覆による活動期に地震防災」を読んで


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 「耐震被覆による活動期に地震防災」(五十嵐俊一・著・構造品質研究所・2012年刊)を読みました。下知減災連絡会で一緒に活動している坂本茂雄さんにお借りしていました。筆者は東京大学工学部卒業後、大手ゼネコンである大成建設に入社、勤務の傍ら米国大学へ留学したり、東大で研究したりした経歴の人。書いていることもユニークです。

「現代の都市とインフラは、鉄筋コンクリートの発明とセメントの大量生産により実現したといえる。建設分野では、これがメンテナンスフリーで、地震で破壊することはないと信じられていたいうパラダイムがある。

 しかし前世紀末から鉄筋コンクリートは、その真の姿を現し始めた。経年劣化し、崩落を初め、大地震の度に崩壊し、多くの犠牲者を出している。環太平洋地震帯上に、かつてない高密度で急速に造られたコンクリートの都市とインフラは、大地震で壊滅する危機に瀕している。

 その他の地域でも経年劣化により早晩、崩壊する運命にある。これに対抗するために、大量の鉄とコンクリートをさらに投入するように求めても、資材、費用、労力ともにとても、追いつかない。診断や補強、補修を計画する専門家も不足している。」

 筆者は「鉄筋コンクリート構造物」の限界を謙虚に認め、限られた資源(人も)でより安全な工法を提起しているのではないでしょうか。

 耐震基準は現実に起きる地震に適合していない。また想定が低いので役に立たないとも。それから対策としても耐震補強の多くは費用の割に役に立たない。免震や制震もそれほど効果的であるとは言えないとも筆者は言います。
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(プレースを鉄板などで固めると、周囲が破損し、変形が大きくなりビルの倒壊につながると指摘されています。P53)
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P76の写真では「現行耐震基準の1・5倍の長期優良住宅が震度6強の揺れで倒壊。耐震強度不足の家屋は倒壊しませんでした。
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それで筆者は構造物の柱の部位を「耐震被覆」することを推奨しています。そのほうが、耐震診断や、耐震補強に多大なコストをかけるよりも、強度もコストも優れていると言います。

 (耐震被覆すると、全体でエネルギーを吸収し変形が小さくなります。)
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 さてそのあたりは正直どうなのかわたしには判断がつきませんでした。

阪神大震災以降に高架橋などの柱部分で被覆による耐震工事を見たことがありました。それが本当に効果があるのかどうか。今後の検証が必要でしょう。意外にもこうした建設分野でも「出たとこ勝負」というところがなんだかなとは思いました。

 香南市を走行するごめん・なはり線の高架部分の部位は柱部分に耐震被覆工事がされているようです。
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