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2013年12月 6日 (金)

高強度発泡樹脂を用いた浮体構造物による南海地震対策

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二葉町自主防災会主催(下知減災連絡会・下知コミュニティ・センター防災部会後援)の防災講演会が、2013年12月5日午後6時半より下知コミュニティ・センター4階多目的室にて開催されました。
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 講師は小谷鐡穂さん(香川県まんのう町在住。現・カフェ・ピッコロ店主・元橋梁土木技術者)でした。表題は「高強度発泡樹脂を用いた浮体構造物による南海地震対策」でした。
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 南海トラフ巨大地震が発生した場合、巨大地震であろうが(M9 ・0東日本大震災規模)であろうが、比較的小さな昭和南海地震(M8・0 1946年12月21日)、海抜が低く(全域が海抜2メートル以下)の高知市下知地域(世帯数9000人。2万人が居住)は、地盤が沈下し、浸水が始まり、2階建て以下の低層住宅に住む住民には、避難退避が厳しいことが想定されたいます。

 現在二葉町自主防災会は、7年ぶりに町内全世帯を対象とした「防災世帯調査」を実施中ですが、高齢化がより進展し、自力歩行が困難な介助が必要な住民も増加しています。高知市役所と共同で地域内の「津波避難ビル」のお願いをしていますが、自力歩行が困難な住民は、迅速な階段昇降が出来ないと思われます。
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 「高強度発泡樹脂を用いた浮体構造物」は、低地の高台がない下知地域の特性と住民の要望を、小谷鐡穂さんが汲み取り、発泡樹脂メーカーのJSPと共同して開発いただきました。

 西村健一下知コミュニティ・センター運営センター防災部会長の歓迎の挨拶がありました。
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 続いて西田政雄(防災寺小屋主宰)から「12万人が低地の軟弱地盤の高知市市街地に居住しています。下知だけでなく、潮江、高須、大津、布師田、五台山などの地域は海抜2メートル以下。高知市中心街も水没する可能性があります。

 高知市浦戸湾の孕にて狭くなっていますので、津波の勢いがそがれ、急激な流速にはならないだろうと学識者が言っています。しかしなんせ浸水エリアが広大であり、人口も多く、長期浸水が予想されています。そういうなかで多数の住民、とくに災害弱者と言われる高齢者や障害をもたれている人たちも、水平移動で避難退避が可能な、「高強度発泡樹脂を用いた浮体構造物」に注目しています。

 この地域であれば、青柳公園全体や昭和小学校の運動場全体を高強度発泡樹脂を用いた浮体構造物」を埋め込むぐらいのことをすべきでしょう。」と言われました。

 有光下知コミュニティ・センター長の紹介で小谷鐡穂さんが登壇しました。講演の内容につきましては、小谷さん作成のレジュメをご参考ください。(講演の断片を聞き取りました。)
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 小谷鐡穂さんは、自己紹介がてら、経歴紹介をされました。大学を卒業されて長年橋梁土木の現場技術者として、橋や鉄塔の建設を携われておられました。(1970年から1991年迄)。
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 その後独立され、屋上緑化や地下水槽などの施工実績もこしらえられています。1991年から2003年まで)
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 2006年度からは香川県へ里帰りし、まんのう町のカフェ・ピッコロのマスターになりました。自家製のジャム・ピザ、燻製、養蜂など食材製造分野におかれましても技術者魂で取り組まれ、お客さん各位から高い評価を受けています。

 「防災施設の究極の目的は人を救うことです。技術者の傾向として、物事を単純化して問題を解決しようとしてしまいます。横にあるものを忘れ、あるいは見ないようにしてしまいます。現実は簡単なものではありません。

 技術や科学よりも人間性が大事ではないかと、この頃特に思います。」

「技術だけ導入しても駄目であると思います。地域や人の要素を大事にしていくこと。感性が大事であると思います。よそから来た学者や行政が科学や技術で地域の事を判断しがちですが、住んでいる人であるからこそわかることもあるのです。」

「地震というものは実験室で再現できるものではありません。わたしが橋梁土木技術者現役時代に体験した阪神大震災もそうでした。強烈な縦揺れ(上下動)により、鉄筋とコンクリートの橋脚が押しつぶされ、提灯のようになっていました。初めての経験でした。」
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「東日本大震災と南海トラフ巨大地震が大きく違うのは、高知県全体が地震域に入っていることです。阪神と異なり、強い揺れが1分以上続くと言います。高層建築物や長大橋なども「共振」して揺れが止まらない状態になると想定されています。

 いくら落橋防止をしていると言いましても共振で落ちる可能性もあります。高層建築物も免震構造であると言いますが、無事であるかどうかはわかりません。

 巨大地震の現象を実験室で再現はできません。津波被害の事に関心が行きがちですが、まず強い揺れに対する対策を皆さん下知地区は特にしないといけません。」

 「浸水や津波による浸水対策として、津波避難ビル、津波避難タワー〈歩道橋なども含む)津波避難救命艇(ノアの方舟)、津波避難シェルターなどが提唱されています。それぞれに長所があり、短所があります。」
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「人が居住していますので、津波避難ビルは避難誘導の人員がいる長所があります。でもビルが安全かどうかは地震が起きてみないとわからないのが現実です。

 津波避難タワーは今後沿岸部に建てられますが、錆対策などの維持管理も想定しないといけません。津波避難困難艇は、設置型でどうしても津波から逃げ切れない地域では有効でしょう。でも人員制限があり、コストも高いです。

 津波避難シェルターに至っては建設費用の高さと、収容人数がそれほど多くないことが言えるでしょう。維持管理費用も必要です。

 なにより各種津波避難施設は、「コストが高いこと」「維持管理費用がかかること」がネックです。また津波避難救命艇や津波避難シェルターの場合、だれが最後のハッチ(ドア)を締め切るのか。大きな問題です。」


「また避難タワーは鉄骨の武骨な構造物であり、修景ができません。高強度発泡樹脂を用いた浮体構造物は修景が可能です。樹木を植えることも可能です。周囲の環境と調和したものができます。」

「また津波避難タワーや津波避難救命艇は、あくまで非常用の設備や装備であり、似つ状的に使用されません。高強度発泡樹脂を用いた浮体構造物は、公園のなかに埋め込み式ですので、日常的な利用は可能です。」

 高強度発泡樹脂を用いた浮体構造物の利点を小谷さんはわかりやすく説明していただきました。

「広大な市街地が浸水し長期浸水状態になった場合、高強度発泡樹脂を用いた浮体構造物は広い場所での施工が可能です。浮体構造物がヘリポート代わりに利用され、長期浸水エリアの市街地に取り残されている多数の市民への支援が可能になります。」

「高強度発泡樹脂を用いた浮体構造物は、筏構造で柔構造です素材自体が浮き上がります。船舶のように機密性は必要がないので、流用物の衝突で損傷しても沈没する心配はありません。大勢の人を助けることが可能です。」

「高強度発泡樹脂を用いた浮体構造物は、なかをくりぬいて飲料水タンクを設置することもかのうです。トイレの整備も可能です。避難場所であり、一時的な収容所の機能も果たすことができます。」

 質疑応答もありました。会場からの質問もありました。
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「発砲スチロールが人の命を支える強度があるのだろうかと素朴な疑問があります。説明を聞いていますと、人力で積み重ねているだけで強度が出るのでしょうか?」

「重機を使用せず人力で現場へ運び、重ねて置くだけです。発泡スチロールは紫外線や火に良弱いので、上に土をかぶせたり、コンクリートで被覆します。摩擦接合していますから、強度もあります。弾力があって強度があるのが、高強度発泡樹脂を用いた浮体構造物です。」

「火に弱いと言われましたが、火災に対しては大丈夫なのでしょうか?」

「高密度の発泡スチロールは、自己消化性があります。火元があれば燃えますが、火元が遠ざかれば消化されます。魚箱などの低密度の発泡スチロールはいったん火がついたら燃え続けますが、高密度の発泡スチロールは火元が遠くなれば自己消化します。」

 小谷さんはこの高強度発泡樹脂を用いた浮体構造物は、下知地域の住民皆様の要望を形にしました。まだ構想段階であり、小規模な実験はしていますが、本格的な実証実験はしていません。

 なんとか関係者の皆様の協力を得て、実証実験を行い、実現するようになりたいと思います。」と呼び掛けられました。

 最後に下知減災連絡会の森宏会長から、謝辞が述べられました。
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 参加者は30人。懸命に参加を呼びかけましたが少なめだったのは残念です。報道関係者は読売新聞と共同通信の記者が取材に来ておられました。
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 動画撮影を西田政雄さん(防災寺小屋主宰)がしていただき、以下の動画チャンネルにアップしていただきました。


http://video.fc2.com/content/201312070900E2hL/

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